2014年の漫画を振り返ってみる(サンデー)

時節柄のネタということで、毎年その年読んだ漫画とかを振り返ってみる記事を書いているわけですが、話が分散してしまうのでちょっと記事分けて見ようかと。ということで、今年1年のサンデーの話。
特に今年のサンデーは連載作品の入れ替わりが多かった。入れ替わりじゃないけど、「絶対可憐チルドレン」の中学生編終了〜高校生編開始、「今際の国のアリス 特別編」の「すぺえどのきんぐ」編終了〜「だいやのきんぐ」編開始といった中断もあったし、「銀の匙Silver Spoon」の不定期連載化、というのもあったり。

終了作品

史上最強の弟子ケンイチ」「月光条例」「神のみぞ知るセカイ」「最上の明医〜ザ・キング・オブ・ニート〜」「國崎出雲の事情」「BUYUDEN」「アナグルモール」「NOBELU -演-」「超推脳KEI」「國士無双!!」「クロノ・モノクローム」「キリヲテリブレ」が終了、「最後は?ストレート!!」が増刊S、「キャプテン・アース」がクラサンへ移籍(Wikipediaより)。特に最初にあげた5作品は(「明医」は「命医」も含め)長期連載だったものが一気に終わったということで、「連載陣の入れ替え」という印象が強かったなあと思います。
「神のみ」は25巻の単行本でいきなり告知され、その後数週で終了という点ではかなり衝撃ではありました。ただ、「桂馬の物語」としては落ち着くべきところに落ち着いた、というところでしょうか。「現実はクソゲーだ」と言っていた桂馬も、その「クソゲー」と付き合っていくことを受け入れていった、ということでもありますし、そのままならない現実の代表であるちひろを選んだ、ということも象徴的ではあります(が、灯編の時点でその答えはそれとなく示されていたとも言えますが)。一方で女神憑きの6人、特に女神編でも過去編でも「無償の愛」の具現でもあった天理の失恋のほうを印象づけるエンディング、というのもラブコメとしてはなかなか挑戦的とも言えました。
月光条例」はラスボスであるオオイミの歪みっぷりが印象的だったなあと(笑)そして「オオイミを退け、月光とエンゲキブ(カグヤ)が二人の人間として地球で暮らす」という予想されたエンディングを大きく裏切る結末となったという点でも印象的でした。
國崎出雲の事情」は恋愛問題に一つの区切りをつけ、お祭り的にこれまでの共演者たちを登場させて「女形・出雲」を認めさせるという、逆に「これぞ大団円」というエンディング。歌舞伎界とはいえ週刊少年誌で堂々と主役カップルがBLやってたんですよねえ、という(笑)しかも最終的に誤解を解いた上で両思いになってるし!最初は「なんだ男の娘ブームにのったか」と思ってたんですが、「共演を通して相手の問題を解決する・理解しあう」という、わりとオーソドックスな少年漫画だったりして、そのあたりはある意味非常にサンデーらしい作品でもありました。

連載開始作品

今年始まったのは「キリヲテリブレ」「キャプテン・アース」「何もないけど空は青い」「銀白のパラディン」「ヘブンズランナーアキラ」「EとT。〜えいがとてんし。〜」「だがしかし」「サイケまたしても」「戦争劇場」「デジコン」「おいしい神しゃま」「トキワ来たれり!!」「ドリー・マー」「天使とアクト!!」。そして「ノゾ×キミ」が増刊Sからの移籍。終了作品が多かったぶん、当然ながら新作も多くなってます。
一番度肝を抜いたのは「ケンイチ」からほぼ休みなく読み切り3作を連続で掲載し、さらにそれが全部「トキワ来たれり!!」のプロローグだったという芸当をやってのけた松名江俊なのは言うまでもありません。すごすぎる。
「銀白のパラディン」(フェンシング)「ヘブンズランナーアキラ」(陸上)が続けて連載開始したときは「え?スポーツ漫画に注力?」と驚いたものですが、さすがにここでスポーツものの追加は一旦終了。とはいえ、「Be Blues!」「ファンタジスタステラ」(サッカー)、「氷球姫×常磐木監督の異常な愛情」(女子アイスホッケー)があるので、計5作品というのは以前よりは多めという印象はあります。にもかかわらず、サッカーと並ぶ少年誌でのメジャースポーツである野球がなくなりましたが(「最後は?ストレート!!」が移籍したので。「湯神くんには友達がいない」の湯神は野球部で投手だけど、あれを野球漫画扱いしてもいいものかどうか)……この中では「氷球姫」がキャラ設定やキャラ同士の関係が暴走しつつも内容的には意外ときちんとスポーツ漫画やってて面白くて好きなんですが、「アキラ」も本筋は「怖い顔と他人との距離の縮め方がわからないせいで孤独だった主人公が、スポーツを通して友人ができていく」という、案外素直なストーリーだったりしてサンデーらしいなあと思ったりもするのです。出てくる人みんな基本的にいい人ばかりだよなあ。
そしてダークホースが「だがしかし」。駄菓子の紹介をしつつのショートギャグですが、毎回笑ってしまう。これからが楽しみな新人さん。

継続作品

というくくりで話するのも変な気はしますが。
「氷球姫×常磐木監督の異常な愛情」は上で書いた通り。女子アイスホッケーという、ソチオリンピックで注目されたであろう競技とはいえ、少年誌としてはメジャーとは言えない素材を上手く料理してるな、という印象もあります。あとたいちゃんは人たらし。変態だけど。
絶対可憐チルドレン」は中学生編が「悠理と兵部の物語」であった、ということを強く印象づける最終展開になったな、と思います。あの未来が悠理の悲劇から始まったこと、悠理自身が呪縛から逃れ、未来を変える努力がとりあえずは実を結んだ(ように見える)こと、そして兵部自身が認めたくない兵部の変化。高校生編ではこれらを受けてストーリーの大前提をリセットすることで「チルドレンの巣立ち」がメインテーマになるような気がしますが、さてどうなるか。
「BIRDMEN」はようやく第1章が終わったというところですかね。自分にも周囲の大人にもあきらめの気持ちを抱いていた烏丸も、龍目やマリリンの登場もあって少しは前向きになったところですが、敵との接触でこれからどうなるか。こちらも楽しみ。

さて今年のサンデーをざっと振り返ってみたわけですが、連載陣の大幅な入れ替えがあったりしたことで、来年は逆に動きが少なかったりするのかなあと思ったりもします。連載はまとまった話ができる程度にはどの作品も続いて欲しいですし、一方でそればっかり言ってると新作品が出てこないし、難しいところですな。